産業用ロボットエンジニアによる産業用ロボットの世界

産業用ロボットエンジニアがリアルな産業用ロボットの世界をお伝えします。

産業用ロボットって他のロボットとなにがちがうの?

 様々な種類のロボットがある中で産業用ロボットは他のロボットとなにがちがうのか。

 

 あたりまえのことですが、産業用ロボットは工場で働き、ものづくりのお手伝いをすることを目的をして作られたロボットです。

 

その用途は搬送、溶接、組み立て、検査など様々。使う人の工夫次第で極論をいえばなんでもできます。

 

そんな産業用ロボットならではの他のロボットにはない特徴をまとめてみました。

 

■ 動作スピードがめちゃくちゃ速い!

 産業用ロボットは工場でのものづくりを行うロボット。

 

工場でのものづくりにとって大事なことの一つにスピードがあります。

 

とくにロボットのプログラムが一回動作する時間のことを業界では「サイクルタイム」と言って、この時間をすこしでも減らせ!とお客さんから厳しい要求を受けます。

 

なぜなら、ロボットが早く仕事をすることで製品を作る時間が短くなりコストが下がるからです。

 

その為に産業用ロボットメーカは少しでも速く動くロボットを開発するわけです。

 

ロボット展で実際に見たことがある人はお分かりかと思いますが、目にも止まらぬ速さとはまさにこのことです。

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ただ、最近は人と共存するロボットというのが流行りで、こいつはゆっくりしか動けません。なぜなら安全柵なしで使うのが前提なので、高速で動いていると危ないからです。

www.youtube.comこういった協働ロボットは人のサポートをしたり、サイクルタイムの要求がシビアではないところでの利用が主になります。

 

■ 超器用です

 産業用ロボットは組み立てだったり、溶接だったり、ミリ単位の仕事を要求されますので精度は高いです。

 

ただし!精度が高いのは「繰り返し精度」です。これは一度教示した位置を正確に再現するという意味です。

 

ロボットに座標値を入力してもその精度は保証されていません。あくまでも教示した位置を再現する目的で使います。

 

これを「ティーチングプレイバック」と呼びます。

 

 

■ クソでかいロボットから小さいのまでいる

 産業用ロボットが扱う商品は千差万別、大きなものを持ち上げたり、小さなものをちまちま扱ったりします。

 

大きなものを扱うには大きなモータが必要で、太いアームも必要になるのでロボット自体も大きくなります。

 

車一台を持ち上げようとするとガンダムみたいにでかいロボットが必要になります。

 

実物をみるとカッコいいですよ!

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小さいのはこんなのもいます。

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■ 特別教育を受けないと使えない

 実は産業用ロボットの特別教育というものを受けないと産業用ロボットは使えません。

 

これは労働安全衛生法で定められています。

 

大抵の場合はロボットメーカがお客さんに対してロボットスクールを開催しています。

 

でも安心してください。そんなに難しい講習ではありません。

 

数日受講すれば修了書もらえます。

 

ただし、ロボットスクールを受ければ産業用ロボットをマスターできると思ったら大間違いです。

 

最低限の操作と安全を学べるぐらいに思ってください。産業用ロボットの操作はかなり難しいです。

 

■ 超危険です

 上記で説明した通り、産業用ロボットは高速で動いたり大きなものを運んだりするのですごい怪力です。

 

どんなに鍛えた人でもワンパンで殺されます。

 

協働ロボットであればロボットに近づいて作業することも可能ですが、あくまで作業環境を含めたリスクアセスメント(ざっくりいうと、どんな危険があるか評価して対策を行うこと)を行うことが前提となっているので、協働ロボットだからといって安全を気にしなくていいという訳ではありません。

 

■ 丈夫です

 産業用ロボットはお遊びロボットではありません。プロです。

 

工場で長く働いてロボットに投資したお金がペイして初めて世の中の役に立ったといえるでしょう。

 

保証期間も長く設定されているものが多いです。

 

お客さんによっては20年以上前のロボットを現役で使っていたりします。(当然部品交換などは必要ですが)

 

ただし、最近は新規参入した産業用ロボットメーカも増えているので、すぐ壊れるやつもいたりしますが・・